♯53 椿(ツバキ)

科・属名:ツバキ科・ツバキ属
和 名:椿、海石榴・海柘榴(ツバキ)
別 名:籔椿(ヤブツバキ)、山椿(ヤマツバキ)
学 名:Camellia japonica(カメリアジャポニカ)
英 名:Camellia japonica
原産地 :日本
咲 期:11月~翌2月
早咲き種は9月~10月、遅咲き種は2月~4月
花言葉 :控えめな素晴らしさ、謙虚な美徳、誇り(赤色)
完全なる美しさ、申し分のない魅力、至上の愛らしさ(白色)
控えめな美、控えめな愛、慎み深い(ピンク色)
【1】ツバキの名前の由来

昔から日本人に親しまれている花木、椿。
その歴史は古く、古事記や日本書紀にも登場しており
椿と人々との関わりを遡ると奈良時代にまで遡ります。
景行天皇が九州で起こった熊襲の乱を鎮めるのに
『海石榴の椎』を土蜘蛛に用いたとされ
これは椿そのものの樹木の強さに象徴された話とされています。
また、正倉院に収められている災いを払うとされる卯杖にも
海石榴が用いられているそうです。
日本では常緑の植物を神聖視する文化があり
室町時代になると神社仏閣の境内に植えられ
たくさんの人々に親しまれるようになりました。

名前の由来として
上記の通り椿の葉は、常緑で艶があり厚いことから
"艶葉木(ツヤバキ)" "厚葉木(アツバキ)"と呼ばれていて
それが訛ったという説が有力です。
このことからも昔々は綺麗な花より
葉が重要視されていたことがわかりますね。
また、お隣中国では隋の時代の記述に『海榴』、『海石榴』があり
"海"の字からわかる通り"海の向こうから来た=日本から来た"
石榴(ザクロ)のような実がなる樹木で『海石榴』と呼ばれます。

学名のCamellia japonicaの
カメリアは椿のようなピンクがかった赤い花の意味ですので
日本の赤っぽい椿の花という意味になります。

【2】椿の花姿

椿の花は花弁が丸くぷっくりと開き
可愛らしい可憐な見た目をしております。
古くから親しまれてきたこともあり
日本での品種は約2200種、外国の品種も合わせると
5000種を超えるとも言われています。

花色は赤色、白色、ピンク色が主ですが
咲き方は一重、八重、千重と多岐にわたります🌼



椿の花は他家受粉しますので
突然変異が起こりやすく
品種が多岐にわたる理由と考えられます。
※他家受粉とは…他の個体から虫や鳥によって運ばれてきた花粉で
受粉する性質を持つ植物の事です。
反対に自分の花粉で受粉することを自家受粉と言います。

また、同じツバキ科の植物の山茶花(サザンカ)と
良く花姿が似ていますが
山茶花は散る時に花弁が一枚ずつ落ちるのに対し
椿は基部が繋がっていて萼を残して丸ごと落ちます。
この花がコロッと落ちる性質から
武士に忌み嫌われたという話がありますが
それは江戸末期や明治時代に入ってからの話で
椿を忌み花とした記述はないようです。
江戸時代に町人にも椿の園芸を愉しむ文化が広がり
それを阻止しようとした武家の人たちがこのような噂を流布したそうです。

【3】可憐な椿の花言葉
上記の通りですが椿には色別に花言葉があります。

共通しているのは『美しい・優美』
『控えめ・気取らない』という点です。
これは椿の花の見た目から言われており
可憐な花の完全なる美しさに由来します。

美しい花のわりに匂いがほとんどしないことから
控えめ、気取らないと言われています。
また、赤い色の"誇り"は『控えめ・気取らない』の言葉とは
正反対のようですが
古くから日本で親しまれてきた花が
世界中で愛される花になったことに由来します。

【4】万能植物椿

海外のイングリッシュガーデンにおいて
バラは必要不可欠の花ですが
昔は今ほど栽培技術なく冬場にバラがないのが欠点でした。
そこで重宝されたのが椿の花です。
寒さや乾燥にも強く、日向でも日陰でも美しい花が咲くので
瞬く間に人気が出てたくさんの園芸品種がつくられました。


また、種子から抽出されるツバキ油が有名ですが
ツバキ油にはオレイン酸という成分がたっぷり含まれております。
このオレイン酸は人の皮脂に最も多く含まれているので抵抗が少なく
ツバキ油は乾きにくく酸化しにくい特徴もあり
ヘアケアやスキンケアにとても役立ちます。

【5】飾り方の紹介



豊臣秀吉も椿の花が好きだったことで有名で
茶花として積極的に取り入れたそうで
今でも冬から早春にかけての茶の席では
椿の花一色になることから
「茶花の女王」とも呼ばれるほど和のイメージが強く
日本人に浸透しているお花ですが
イングリッシュガーデンで重宝された花だけあって
ガラスの器にも良く映えます。

樹木ですので花瓶に生けてあげることを
お勧めします。
【6】終わりに

今回は椿についてご紹介しました。
優しく美しい花姿の椿ですが
花がコロッと落ちる性質や鉢物(=病床に根付く)は
お見舞いのお花としてタブーとされておりますので
注意が必要となります。
また、還暦などの長寿のお祝い事にも
花首が落ちることから贈るのには向いておりません。
長期の入院などのお見舞いは
毎日お風呂に入れるわけではないので
全身ケアできるツバキ油を贈ると良いかもしれませんね🌼

古来より人々を魅了する椿。
毎年国内外で盛んに品種改良が行われ
新しい品種の誕生とともに古い品種は消え逝くのが常ですが
椿に限っては江戸時代から続く品種が今もなお
根強い人気を集めています。
玄関に飾ると厄除けの効果もあると言われます。
これからの時期、冷たくなった空気の中
お花鑑賞にいかかでしょうか。


科・属名:ツバキ科・ツバキ属
和 名:椿、海石榴・海柘榴(ツバキ)
別 名:籔椿(ヤブツバキ)、山椿(ヤマツバキ)
学 名:Camellia japonica(カメリアジャポニカ)
英 名:Camellia japonica
原産地 :日本
咲 期:11月~翌2月
早咲き種は9月~10月、遅咲き種は2月~4月
花言葉 :控えめな素晴らしさ、謙虚な美徳、誇り(赤色)
完全なる美しさ、申し分のない魅力、至上の愛らしさ(白色)
控えめな美、控えめな愛、慎み深い(ピンク色)
【1】ツバキの名前の由来

昔から日本人に親しまれている花木、椿。
その歴史は古く、古事記や日本書紀にも登場しており
椿と人々との関わりを遡ると奈良時代にまで遡ります。
景行天皇が九州で起こった熊襲の乱を鎮めるのに
『海石榴の椎』を土蜘蛛に用いたとされ
これは椿そのものの樹木の強さに象徴された話とされています。
また、正倉院に収められている災いを払うとされる卯杖にも
海石榴が用いられているそうです。
日本では常緑の植物を神聖視する文化があり
室町時代になると神社仏閣の境内に植えられ
たくさんの人々に親しまれるようになりました。

名前の由来として
上記の通り椿の葉は、常緑で艶があり厚いことから
"艶葉木(ツヤバキ)" "厚葉木(アツバキ)"と呼ばれていて
それが訛ったという説が有力です。
このことからも昔々は綺麗な花より
葉が重要視されていたことがわかりますね。
また、お隣中国では隋の時代の記述に『海榴』、『海石榴』があり
"海"の字からわかる通り"海の向こうから来た=日本から来た"
石榴(ザクロ)のような実がなる樹木で『海石榴』と呼ばれます。

学名のCamellia japonicaの
カメリアは椿のようなピンクがかった赤い花の意味ですので
日本の赤っぽい椿の花という意味になります。

【2】椿の花姿

椿の花は花弁が丸くぷっくりと開き
可愛らしい可憐な見た目をしております。
古くから親しまれてきたこともあり
日本での品種は約2200種、外国の品種も合わせると
5000種を超えるとも言われています。

花色は赤色、白色、ピンク色が主ですが
咲き方は一重、八重、千重と多岐にわたります🌼



椿の花は他家受粉しますので
突然変異が起こりやすく
品種が多岐にわたる理由と考えられます。
※他家受粉とは…他の個体から虫や鳥によって運ばれてきた花粉で
受粉する性質を持つ植物の事です。
反対に自分の花粉で受粉することを自家受粉と言います。

また、同じツバキ科の植物の山茶花(サザンカ)と
良く花姿が似ていますが
山茶花は散る時に花弁が一枚ずつ落ちるのに対し
椿は基部が繋がっていて萼を残して丸ごと落ちます。
この花がコロッと落ちる性質から
武士に忌み嫌われたという話がありますが
それは江戸末期や明治時代に入ってからの話で
椿を忌み花とした記述はないようです。
江戸時代に町人にも椿の園芸を愉しむ文化が広がり
それを阻止しようとした武家の人たちがこのような噂を流布したそうです。

【3】可憐な椿の花言葉
上記の通りですが椿には色別に花言葉があります。

共通しているのは『美しい・優美』
『控えめ・気取らない』という点です。
これは椿の花の見た目から言われており
可憐な花の完全なる美しさに由来します。

美しい花のわりに匂いがほとんどしないことから
控えめ、気取らないと言われています。
また、赤い色の"誇り"は『控えめ・気取らない』の言葉とは
正反対のようですが
古くから日本で親しまれてきた花が
世界中で愛される花になったことに由来します。

【4】万能植物椿

海外のイングリッシュガーデンにおいて
バラは必要不可欠の花ですが
昔は今ほど栽培技術なく冬場にバラがないのが欠点でした。
そこで重宝されたのが椿の花です。
寒さや乾燥にも強く、日向でも日陰でも美しい花が咲くので
瞬く間に人気が出てたくさんの園芸品種がつくられました。


また、種子から抽出されるツバキ油が有名ですが
ツバキ油にはオレイン酸という成分がたっぷり含まれております。
このオレイン酸は人の皮脂に最も多く含まれているので抵抗が少なく
ツバキ油は乾きにくく酸化しにくい特徴もあり
ヘアケアやスキンケアにとても役立ちます。

【5】飾り方の紹介



豊臣秀吉も椿の花が好きだったことで有名で
茶花として積極的に取り入れたそうで
今でも冬から早春にかけての茶の席では
椿の花一色になることから
「茶花の女王」とも呼ばれるほど和のイメージが強く
日本人に浸透しているお花ですが
イングリッシュガーデンで重宝された花だけあって
ガラスの器にも良く映えます。

樹木ですので花瓶に生けてあげることを
お勧めします。
【6】終わりに

今回は椿についてご紹介しました。
優しく美しい花姿の椿ですが
花がコロッと落ちる性質や鉢物(=病床に根付く)は
お見舞いのお花としてタブーとされておりますので
注意が必要となります。
また、還暦などの長寿のお祝い事にも
花首が落ちることから贈るのには向いておりません。
長期の入院などのお見舞いは
毎日お風呂に入れるわけではないので
全身ケアできるツバキ油を贈ると良いかもしれませんね🌼

古来より人々を魅了する椿。
毎年国内外で盛んに品種改良が行われ
新しい品種の誕生とともに古い品種は消え逝くのが常ですが
椿に限っては江戸時代から続く品種が今もなお
根強い人気を集めています。
玄関に飾ると厄除けの効果もあると言われます。
これからの時期、冷たくなった空気の中
お花鑑賞にいかかでしょうか。

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