♯55 金盞花(キンセンカ)

科・属名:キク科・キンセンカ属
和 名:金盞花
別 名:カレンデュラ、ポットマリーゴールド
学 名:Calendula officinalis(カレンデュラ・オフィシナリス)
英 名:Pot Marigold
原産地 :ヨーロッパ南部、エジプト、地中海沿岸
咲 期:12月~翌5月
花言葉 :悲嘆、寂しさ、失望、別れの悲しみ、暗い悲しみ
慈愛、乙女の美しさ
【1】キンセンカの名前の由来

日本のお庭やガーデニングにおいても
広く名前の知られるキンセンカ。
鮮やかな黄色やオレンジ色の花が特徴的で
冬場のお花が少ない時期にガーデニングで重宝されます。
ビタミン色で元気な見た目からは想像できないほど
ネガティブな花言葉を持ちます。
先ずは、名前の由来からご紹介しましょう。
キンセンカは字の通り
『黄金色の盞(さかずき)のような花』という意味です。

確かに横から見ると盃のように見えますね🌼
また、中国の古い言い伝えには
賭けに勝ったらお金よりもその対価にふさわしい
珍しい花をもらった方が良い というものがあり
『金銭花』との表記も残っているようです。
『カレンデュラ』は暦(カレンダー)の語源でもある
ラテン語の"Calende(各月の初日)"から来ており
原産地のヨーロッパ南部やエジプト、地中海沿岸では
温暖な気候のため1年中花が咲きます。
日が昇るとともに開花し、夜になると花が閉じることから
昔は花時計として利用していたことに由来します。
学名であるCalendula officinalis(カレンデュラ・オフィシナリス)の
「Officinalis」には薬用のという意味があります。
【2】金盞花の花姿

キンセンカはキク科の花ですので
菊の花のように花弁が密集し豪華に開きます。
色合いは太陽のように眩しいほどの黄色やオレンジ色で
華やかな花姿をしています。
キンセンカの原産地はヨーロッパ南部~地中海沿岸の地域ですが
特にカナリア諸島には20種もの種類が分布しております。
日本には17世紀頃に中国を経由して渡来し
昭和初期頃になると仏花として盛んに栽培されました。
◉オフィシナリスとアルウェンシス
キンセンカの花は中輪ほどの八重咲きが多いオフィシナリスと
小輪で一重咲きのアルウェンシスに分けられます。
オフィシナリス…花径5~7㎝の中輪系で立ち性タイプ
アルウェンシス…花径2~3㎝ほどの小輪系で横に広がる

また、アルウェンシス系の代表的な園芸品種である
カレンデュラ・フユシラズ(冬知らず)などは
発芽率が良く、横に広がって咲くので
こぼれ種で野生化しやすい特徴があります。
一般的なキンセンカは耐寒性がありますが耐暑性が少なく
日本の高温多湿な夏は苦手で、梅雨時期には枯れてしまします。
なので日本では1年草扱いになります。
【3】ネガティブ言葉のオンパレード!?
金盞花の花言葉
キンセンカの花言葉には
キラキラと輝くような見た目からは想像もできないような
ネガティブワードが並びます。
悲嘆、寂しさ、失望、別れの悲しみ、暗い悲しみ、、、

この花言葉の由来は一体何なのか…
それは西洋において黄色の花がネガティブに捉えられることと
ギリシャ神話にあるといわれます。
私たち日本人にはなかなか馴染みがないかもしれませんが
宗教のお話です。
今でこそ世界的に広がっているキリスト教ですが
その宗教観は時として様々な誤解を生み圧倒的な力で弾圧されたりと
受け入れられるまでに非常に不安定な歴史的背景がありました。
ローマ帝国においても皇帝たちによって容認されたり様々でした。

特に暴君として名高いネロやディオクレティアヌスが皇帝の時代には
大々的な迫害がありました。
そして、西洋において黄色の花がネガティブに捉えられることと
時の皇帝たちの迫害の歴史が関係している理由としては
身に着けていた衣の色だといわれています。
迫害を指揮した皇帝たちの衣の色がキンセンカのような
鮮やかな黄色であったため西洋の黄色の花には
失望や悲しみを表す花言葉がたくさん存在するのです。
また、宗教的思想の他に、こんなギリシャ神話の恋の物語があります。

太陽神アポロンに水の精ニンフ(クリティ)は恋心を抱きました。
しかしアポロンはレウトコエ王女と恋仲にあり恋人同士でした。
そのことを妬んだニンフは、どうにかしてアポロンを
振り向かせたいと思い
王女の父親に二人の関係を告げ口することを思いつきます。
ニンフの言葉を真に受けた父親は、あろうことか
娘である王女を生き埋めにしてしまったのです…
大変なことをしてしまったことに気付いたニンフは
自らの行いを恥じ、後悔しました。
力なくその場に座り込み呆然とアポロン(=太陽)を見上げ
気づけば9日間が過ぎており
いつの間にかニンフの体は
太陽の色をしたキンセンカの姿になっていました。
この話はキンセンカの花言葉の
"別れの悲しみ"や"乙女の美しさ"に通ずるものがあり
ニンフの利己的な想いの儚さ、愚かさ
人を愛することの美しさを示すものと解釈できます。
また、キンセンカとアポロンの神話ではこの様な話もあります。
純粋無垢なクリムノン少年はアポロンの存在を感じられる昼が
とても大好きな少年でした。
なので夜になるとアポロンに会えず寂しくて
悲しみに暮れる日々を過ごしておりました。

やがてピュアで真っ直ぐなクリムノンの恋心は
アポロンも知ることになりますが
それを雲の神が良く思いませんでした。
雲の神はなんとか二人の関係を邪魔しようと企て
8日間もアポロンの姿を隠してしまいました。
そんなこととは知らない無垢な少年は
いつ姿を現すかもわからないアポロンを待ち続けました。
そして9日目の朝、ようやくアポロンが姿を現した頃には
クリムノンは変わり果てた姿で息絶えていました。
アポロンはクリムノンの真っ直ぐな気持ちに心を打たれ
その亡骸を自分と同じ色のキンセンカの花に変え
二人の愛の証にし弔いました。
キンセンカが太陽の方を向いて咲くのは
これからの神話にまつわるものとの解釈があります。

【4】万能植物金盞花
観賞用のイメージが強いキンセンカですが
古くからハーブとして利用されており
日本ではあまり馴染みがありませんが
食用(エディブル・フラワー)にもなります。
古代ローマの頃から
花は天ぷらのように揚げて、葉はサラダで食べられていたそうです。
薬用としては、乾燥させた花弁を使用します。

抗炎症作用や抗酸化作用があり
アルコールに浸けてチンキ剤にしたり
ハーブティーとして飲用したり化粧水としても使えます。
浸出液と蜜蝋で軟膏にすれば湿布薬や
リップクリームとしても使えます。
さらに殺菌作用もあるので外用すれば
切り傷やニキビ、火傷などの皮膚トラブルに有効です。

また、色鮮やかなオレンジ色にはルテインが多く含まれ
眼精疲労や加齢による目の病気などにも
効果があるといわれています。

【5】飾り方の紹介

ビタミンカラーで元気なイメージのキンセンカ。
キンセンカのみを花瓶に生けてあげても
お花の存在感が際立ちます。

黄色やオレンジ色が強いので
周りの淡い色やピンク、グリーンを引き立ててくれますので
アレンジメントの際はピンク系や葉物を入れてあげると
良いと思います🌼
【6】終わりに

今回はキンセンカについてご紹介しました。
身近な植物ですが食用になったり、神話があったりと
意外と知らないことが多い印象でした。
昭和初期から仏花として盛んに生産された背景から
ご高齢の方はまだそのイメージが強くあるかもしれません。
また、メインとなる花言葉にネガティブなものが多いため
贈る際は加工されたキンセンカ製品を
贈るのも良いかもしれません。
キンセンカオイルは植物由来ですので肌にとても優しく
出産前後の妊婦さんやその赤ちゃんにも良いとされます。
キンセンカティーは身体の老廃物を外に追い出し
デトックス効果も期待できるそうです🌼
お花は12月頃から咲き始める品種もありますが
最盛期は3月~4月の春のお花です。
手入れなどもほとんどいらず寒さに強く扱いやすいので
自分へのご褒美なんかにキンセンカのお花はいかがでしょうか。


科・属名:キク科・キンセンカ属
和 名:金盞花
別 名:カレンデュラ、ポットマリーゴールド
学 名:Calendula officinalis(カレンデュラ・オフィシナリス)
英 名:Pot Marigold
原産地 :ヨーロッパ南部、エジプト、地中海沿岸
咲 期:12月~翌5月
花言葉 :悲嘆、寂しさ、失望、別れの悲しみ、暗い悲しみ
慈愛、乙女の美しさ
【1】キンセンカの名前の由来

日本のお庭やガーデニングにおいても
広く名前の知られるキンセンカ。
鮮やかな黄色やオレンジ色の花が特徴的で
冬場のお花が少ない時期にガーデニングで重宝されます。
ビタミン色で元気な見た目からは想像できないほど
ネガティブな花言葉を持ちます。
先ずは、名前の由来からご紹介しましょう。
キンセンカは字の通り
『黄金色の盞(さかずき)のような花』という意味です。

確かに横から見ると盃のように見えますね🌼
また、中国の古い言い伝えには
賭けに勝ったらお金よりもその対価にふさわしい
珍しい花をもらった方が良い というものがあり
『金銭花』との表記も残っているようです。
『カレンデュラ』は暦(カレンダー)の語源でもある
ラテン語の"Calende(各月の初日)"から来ており
原産地のヨーロッパ南部やエジプト、地中海沿岸では
温暖な気候のため1年中花が咲きます。
日が昇るとともに開花し、夜になると花が閉じることから
昔は花時計として利用していたことに由来します。
学名であるCalendula officinalis(カレンデュラ・オフィシナリス)の
「Officinalis」には薬用のという意味があります。
【2】金盞花の花姿

キンセンカはキク科の花ですので
菊の花のように花弁が密集し豪華に開きます。
色合いは太陽のように眩しいほどの黄色やオレンジ色で
華やかな花姿をしています。
キンセンカの原産地はヨーロッパ南部~地中海沿岸の地域ですが
特にカナリア諸島には20種もの種類が分布しております。
日本には17世紀頃に中国を経由して渡来し
昭和初期頃になると仏花として盛んに栽培されました。
◉オフィシナリスとアルウェンシス
キンセンカの花は中輪ほどの八重咲きが多いオフィシナリスと
小輪で一重咲きのアルウェンシスに分けられます。
オフィシナリス…花径5~7㎝の中輪系で立ち性タイプ
アルウェンシス…花径2~3㎝ほどの小輪系で横に広がる

また、アルウェンシス系の代表的な園芸品種である
カレンデュラ・フユシラズ(冬知らず)などは
発芽率が良く、横に広がって咲くので
こぼれ種で野生化しやすい特徴があります。
一般的なキンセンカは耐寒性がありますが耐暑性が少なく
日本の高温多湿な夏は苦手で、梅雨時期には枯れてしまします。
なので日本では1年草扱いになります。
【3】ネガティブ言葉のオンパレード!?
金盞花の花言葉
キンセンカの花言葉には
キラキラと輝くような見た目からは想像もできないような
ネガティブワードが並びます。
悲嘆、寂しさ、失望、別れの悲しみ、暗い悲しみ、、、

この花言葉の由来は一体何なのか…
それは西洋において黄色の花がネガティブに捉えられることと
ギリシャ神話にあるといわれます。
私たち日本人にはなかなか馴染みがないかもしれませんが
宗教のお話です。
今でこそ世界的に広がっているキリスト教ですが
その宗教観は時として様々な誤解を生み圧倒的な力で弾圧されたりと
受け入れられるまでに非常に不安定な歴史的背景がありました。
ローマ帝国においても皇帝たちによって容認されたり様々でした。

特に暴君として名高いネロやディオクレティアヌスが皇帝の時代には
大々的な迫害がありました。
そして、西洋において黄色の花がネガティブに捉えられることと
時の皇帝たちの迫害の歴史が関係している理由としては
身に着けていた衣の色だといわれています。
迫害を指揮した皇帝たちの衣の色がキンセンカのような
鮮やかな黄色であったため西洋の黄色の花には
失望や悲しみを表す花言葉がたくさん存在するのです。
また、宗教的思想の他に、こんなギリシャ神話の恋の物語があります。

太陽神アポロンに水の精ニンフ(クリティ)は恋心を抱きました。
しかしアポロンはレウトコエ王女と恋仲にあり恋人同士でした。
そのことを妬んだニンフは、どうにかしてアポロンを
振り向かせたいと思い
王女の父親に二人の関係を告げ口することを思いつきます。
ニンフの言葉を真に受けた父親は、あろうことか
娘である王女を生き埋めにしてしまったのです…
大変なことをしてしまったことに気付いたニンフは
自らの行いを恥じ、後悔しました。
力なくその場に座り込み呆然とアポロン(=太陽)を見上げ
気づけば9日間が過ぎており
いつの間にかニンフの体は
太陽の色をしたキンセンカの姿になっていました。
この話はキンセンカの花言葉の
"別れの悲しみ"や"乙女の美しさ"に通ずるものがあり
ニンフの利己的な想いの儚さ、愚かさ
人を愛することの美しさを示すものと解釈できます。
また、キンセンカとアポロンの神話ではこの様な話もあります。
純粋無垢なクリムノン少年はアポロンの存在を感じられる昼が
とても大好きな少年でした。
なので夜になるとアポロンに会えず寂しくて
悲しみに暮れる日々を過ごしておりました。

やがてピュアで真っ直ぐなクリムノンの恋心は
アポロンも知ることになりますが
それを雲の神が良く思いませんでした。
雲の神はなんとか二人の関係を邪魔しようと企て
8日間もアポロンの姿を隠してしまいました。
そんなこととは知らない無垢な少年は
いつ姿を現すかもわからないアポロンを待ち続けました。
そして9日目の朝、ようやくアポロンが姿を現した頃には
クリムノンは変わり果てた姿で息絶えていました。
アポロンはクリムノンの真っ直ぐな気持ちに心を打たれ
その亡骸を自分と同じ色のキンセンカの花に変え
二人の愛の証にし弔いました。
キンセンカが太陽の方を向いて咲くのは
これからの神話にまつわるものとの解釈があります。

【4】万能植物金盞花
観賞用のイメージが強いキンセンカですが
古くからハーブとして利用されており
日本ではあまり馴染みがありませんが
食用(エディブル・フラワー)にもなります。
古代ローマの頃から
花は天ぷらのように揚げて、葉はサラダで食べられていたそうです。
薬用としては、乾燥させた花弁を使用します。

抗炎症作用や抗酸化作用があり
アルコールに浸けてチンキ剤にしたり
ハーブティーとして飲用したり化粧水としても使えます。
浸出液と蜜蝋で軟膏にすれば湿布薬や
リップクリームとしても使えます。
さらに殺菌作用もあるので外用すれば
切り傷やニキビ、火傷などの皮膚トラブルに有効です。

また、色鮮やかなオレンジ色にはルテインが多く含まれ
眼精疲労や加齢による目の病気などにも
効果があるといわれています。

【5】飾り方の紹介

ビタミンカラーで元気なイメージのキンセンカ。
キンセンカのみを花瓶に生けてあげても
お花の存在感が際立ちます。

黄色やオレンジ色が強いので
周りの淡い色やピンク、グリーンを引き立ててくれますので
アレンジメントの際はピンク系や葉物を入れてあげると
良いと思います🌼
【6】終わりに

今回はキンセンカについてご紹介しました。
身近な植物ですが食用になったり、神話があったりと
意外と知らないことが多い印象でした。
昭和初期から仏花として盛んに生産された背景から
ご高齢の方はまだそのイメージが強くあるかもしれません。
また、メインとなる花言葉にネガティブなものが多いため
贈る際は加工されたキンセンカ製品を
贈るのも良いかもしれません。
キンセンカオイルは植物由来ですので肌にとても優しく
出産前後の妊婦さんやその赤ちゃんにも良いとされます。
キンセンカティーは身体の老廃物を外に追い出し
デトックス効果も期待できるそうです🌼
お花は12月頃から咲き始める品種もありますが
最盛期は3月~4月の春のお花です。
手入れなどもほとんどいらず寒さに強く扱いやすいので
自分へのご褒美なんかにキンセンカのお花はいかがでしょうか。

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