♯57 梅(ウメ)

科・属名:バラ科・サクラ属
和 名:梅
別 名:木の花、春告草、匂草
学 名:Prunus mume(プラヌス ムメ)
英 名:Plum blossom(花)
Japanese apricot(果実)
原産地 :中国
咲 期:2月中旬~3月上旬
花言葉 :高潔、忠誠、優雅、高貴、忍耐、絢爛、気品
厳かな美しさ、自立・独立、澄んだ心、忠実
約束を守る、美と長寿
古くより私たち日本人と深いかかわりを持つ梅の花。
日本原産の花木だと思われがちですが
奈良時代よりも以前に遣唐使が薬木として
日本に持ち帰ったものとする説が有力です。
日本の風土に良く合い、平安時代に広く普及したとされています。
可愛らしいお花から果実、そして香りまで楽しめる
とても理想的な花木です🌼
【1】梅の名前の由来

梅の名前の由来として
梅の実が大きく膨らみ緑色から黄色、オレンジ色へと成熟する様から
「熟実(うむみ)」が転じたという説や
薬用として渡来した「烏梅(うばい)」と呼ばれる
燻して乾燥させた梅の実を「マイ」や「メイ」と呼んでいましたが
昔の日本人には「ムメ」と聞こえていて
その言葉が「ウメ」と変化し広まった説などがあります。
※奈良時代の万葉集では『ウメ』、平安時代以降では『ムメ』
そして現在は『ウメ』と呼ばれています。

【2】梅の花姿
ウメは中国からの渡来後、江戸時代に盛んに品種改良が行われ
現在では300種以上の品種があるとされています。
園芸学的な分類によると
花を鑑賞目的とする『花梅(はなうめ)』と
果実の採取を目的とする『実梅(みうめ)』に分けられます。
更に花梅は3系統に分けられます。
・野梅系(やばいけい)

野梅から変化した原種に近い梅。
中国から渡来した原種の子孫とされており
枝が細く、花も葉も小さめですが
とても良い香りがするのが特徴です。
・緋梅系(ひばいけい)

野梅系から変化したもので枝や幹の内部があかく
そのほとんどが紅色、緋色のもの。
花が白色でも枝の髄が紅いものは緋梅系に分類される。
葉が小さく、性質としては野梅系に近い。
庭木や盆栽として使われることが多い。
・豊後系

梅と杏(アンズ)を掛け合わせた交雑種系。
性質はアンズに近く、花は桃色のものが多い。
葉が大きく育ちが良いのも特徴。
よく、あちらこちらで見かける梅の花は
野梅系の品種が多いです。
【3】梅が持つたくさんの花言葉

小さくて可愛らしく日本人女性を象徴するような梅の花。
その見た目の美しさもさることながら
東洋では厳しい寒さが残る早春の時期に咲く梅は
春を告げるおめでたい花とされ
花は小さく控えめですが、どんなに寒く厳しい環境でも
他の花に先駆けて咲き、凛として上を向く花姿は
強さと謙虚さの象徴と捉えられ
高潔、優雅、高貴、忍耐、絢爛、気品
厳かな美しさ、自立・独立、済んだ心
…などの花言葉がつけられました。
◉太宰府天満宮の"飛梅伝説"
全国の天満宮の総本山である太宰府天満宮。
そこには学問の神様で有名な菅原道真が祀られています。
太宰府天満宮のご神木である白梅にまつわる
"飛梅伝説"という逸話があります。

菅原道真は京の帝に仕えており
平安京の自宅の庭の木々をとても大切に育てておりました。
しかし、後の権力争いで藤原氏に濡れ衣を着せられてしまい
京都から福岡の太宰府に左遷されてしまいます。
庭木をこよなく愛していた道真は
桜、松、梅の木との別れを惜しみ歌を詠みました。
『春風吹かば にほひをこせよ 梅の花
主なしとて 春なわすれそ』
"梅よ、春の風に乗せて(私がいる太宰府に)香りを届けておくれ。
私がいなくて悲しいからといって、春を忘れてはいけないよ。"
この想いが庭木たちに届きました。
桜は別れの悲しみに打ちひしがれ枯れてしまいましたが
なんと松と梅の木は、主人の後を追って飛び出しました。
松は途中で力尽き大阪や兵庫あたりに落ち根付きました。
梅は無事に太宰府まで辿り着き
主人の生涯に寄り添うことができました。
この梅の忠義が『忠誠』、『忠実』という
花言葉になりました。

【4】梅知識
皆さんご存じの通り梅の果実は
梅干しや梅酒などに用いられます。

古来より中国では酸味料として使われたり
漢方の原料としてきました。
そんな生活に密着した梅ですが
種の中に青酸という毒性の強い物質が含まれ
そのまま食べると死に至る恐れもあります。
"梅の種には天神様(菅原道真)が宿っているので
食べてはいけません"という教えもあるそうです。
昔の人々の知恵で塩に漬け込んで梅干しにしたりして
安全に食べられるように工夫されました。
クエン酸などを多く含み殺菌作用があります。
明治時代の日清戦争で伝染病にかかった兵士に
梅肉エキスを与え完治させ梅干しの薬効を実践したという
経歴もあります。
◉梅雨(つゆ)と梅の関係

我々にとって梅雨の時期はジメジメと湿気があって
嫌な季節ですが梅などの植物にとっては恵みの雨です。
梅雨の時期に雨が降ることで梅の実は大きく成長し膨らみます。
"梅雨(つゆ)"はなぜ"梅の雨"と書くのでしょう?
梅雨とは、中国から朝鮮半島、北海道を除く日本列島にみられる
雨季のことをいいます。
それほど強くない雨が長く降るのが特徴です。
・中国で生まれた言葉『梅雨(ばいう)』
梅の実が熟す頃の長雨で梅雨(ばいう)と言った説
黴(カビ)が生えやすい時期の雨で黴雨(ばいう)と呼んでいたが
カビの字は語感が悪いのでその時期の梅の字を当てて
梅雨(ばいう)と呼んだ説…などがあります。
・日本では梅雨のことを五月雨(さみだれ)と呼んでいました。
"さ"は陰暦の5月、現在の6月のことで
"みだれ"は水垂れの意味です。
『梅雨』という言葉は江戸時代に日本へ伝わりました。
その頃から梅雨(つゆ)と呼ばれるようになりました。
「露(つゆ)」、梅の実が熟す時期の「つはる」、
梅の実が熟し潰れる「潰ゆ(つゆ)」、
カビのせいで物が損なわれてしまう「費ゆ(つひゆ)」などの言葉から関連付けて
"つゆ"と呼ばれるようになったと言われていますが
梅雨(つゆ)の詳しい語源については
まだわかっていないことが多いようです。
【5】飾り方の紹介

花梅の飾り方といえば
やはりお正月飾りでしょう🌼

門松にも使用されます。


古くより日本で親しまれてきたお花だけあって
和の装いが似合います。
【6】終わりに

今回は梅についてご紹介しました。
古くより私たちと密接な関係にある梅の花。
当たり前のように梅干しを食べてきましたが
種に毒があるなど知りませんでした。
これから春にかけてたくさんのお花が咲いてきますが
それに先駆けて咲く梅の花🌼
江戸時代よりも前は桜のお花見より
梅のお花見をしていたそうです。
まだまだ寒い日が続きますが、しっかりと防寒をして
梅のお花見も風情があって良いかもしれません。


科・属名:バラ科・サクラ属
和 名:梅
別 名:木の花、春告草、匂草
学 名:Prunus mume(プラヌス ムメ)
英 名:Plum blossom(花)
Japanese apricot(果実)
原産地 :中国
咲 期:2月中旬~3月上旬
花言葉 :高潔、忠誠、優雅、高貴、忍耐、絢爛、気品
厳かな美しさ、自立・独立、澄んだ心、忠実
約束を守る、美と長寿
古くより私たち日本人と深いかかわりを持つ梅の花。
日本原産の花木だと思われがちですが
奈良時代よりも以前に遣唐使が薬木として
日本に持ち帰ったものとする説が有力です。
日本の風土に良く合い、平安時代に広く普及したとされています。
可愛らしいお花から果実、そして香りまで楽しめる
とても理想的な花木です🌼
【1】梅の名前の由来

梅の名前の由来として
梅の実が大きく膨らみ緑色から黄色、オレンジ色へと成熟する様から
「熟実(うむみ)」が転じたという説や
薬用として渡来した「烏梅(うばい)」と呼ばれる
燻して乾燥させた梅の実を「マイ」や「メイ」と呼んでいましたが
昔の日本人には「ムメ」と聞こえていて
その言葉が「ウメ」と変化し広まった説などがあります。
※奈良時代の万葉集では『ウメ』、平安時代以降では『ムメ』
そして現在は『ウメ』と呼ばれています。

【2】梅の花姿
ウメは中国からの渡来後、江戸時代に盛んに品種改良が行われ
現在では300種以上の品種があるとされています。
園芸学的な分類によると
花を鑑賞目的とする『花梅(はなうめ)』と
果実の採取を目的とする『実梅(みうめ)』に分けられます。
更に花梅は3系統に分けられます。
・野梅系(やばいけい)

野梅から変化した原種に近い梅。
中国から渡来した原種の子孫とされており
枝が細く、花も葉も小さめですが
とても良い香りがするのが特徴です。
・緋梅系(ひばいけい)

野梅系から変化したもので枝や幹の内部があかく
そのほとんどが紅色、緋色のもの。
花が白色でも枝の髄が紅いものは緋梅系に分類される。
葉が小さく、性質としては野梅系に近い。
庭木や盆栽として使われることが多い。
・豊後系

梅と杏(アンズ)を掛け合わせた交雑種系。
性質はアンズに近く、花は桃色のものが多い。
葉が大きく育ちが良いのも特徴。
よく、あちらこちらで見かける梅の花は
野梅系の品種が多いです。
【3】梅が持つたくさんの花言葉

小さくて可愛らしく日本人女性を象徴するような梅の花。
その見た目の美しさもさることながら
東洋では厳しい寒さが残る早春の時期に咲く梅は
春を告げるおめでたい花とされ
花は小さく控えめですが、どんなに寒く厳しい環境でも
他の花に先駆けて咲き、凛として上を向く花姿は
強さと謙虚さの象徴と捉えられ
高潔、優雅、高貴、忍耐、絢爛、気品
厳かな美しさ、自立・独立、済んだ心
…などの花言葉がつけられました。
◉太宰府天満宮の"飛梅伝説"
全国の天満宮の総本山である太宰府天満宮。
そこには学問の神様で有名な菅原道真が祀られています。
太宰府天満宮のご神木である白梅にまつわる
"飛梅伝説"という逸話があります。

菅原道真は京の帝に仕えており
平安京の自宅の庭の木々をとても大切に育てておりました。
しかし、後の権力争いで藤原氏に濡れ衣を着せられてしまい
京都から福岡の太宰府に左遷されてしまいます。
庭木をこよなく愛していた道真は
桜、松、梅の木との別れを惜しみ歌を詠みました。
『春風吹かば にほひをこせよ 梅の花
主なしとて 春なわすれそ』
"梅よ、春の風に乗せて(私がいる太宰府に)香りを届けておくれ。
私がいなくて悲しいからといって、春を忘れてはいけないよ。"
この想いが庭木たちに届きました。
桜は別れの悲しみに打ちひしがれ枯れてしまいましたが
なんと松と梅の木は、主人の後を追って飛び出しました。
松は途中で力尽き大阪や兵庫あたりに落ち根付きました。
梅は無事に太宰府まで辿り着き
主人の生涯に寄り添うことができました。
この梅の忠義が『忠誠』、『忠実』という
花言葉になりました。

【4】梅知識
皆さんご存じの通り梅の果実は
梅干しや梅酒などに用いられます。

古来より中国では酸味料として使われたり
漢方の原料としてきました。
そんな生活に密着した梅ですが
種の中に青酸という毒性の強い物質が含まれ
そのまま食べると死に至る恐れもあります。
"梅の種には天神様(菅原道真)が宿っているので
食べてはいけません"という教えもあるそうです。
昔の人々の知恵で塩に漬け込んで梅干しにしたりして
安全に食べられるように工夫されました。
クエン酸などを多く含み殺菌作用があります。
明治時代の日清戦争で伝染病にかかった兵士に
梅肉エキスを与え完治させ梅干しの薬効を実践したという
経歴もあります。
◉梅雨(つゆ)と梅の関係

我々にとって梅雨の時期はジメジメと湿気があって
嫌な季節ですが梅などの植物にとっては恵みの雨です。
梅雨の時期に雨が降ることで梅の実は大きく成長し膨らみます。
"梅雨(つゆ)"はなぜ"梅の雨"と書くのでしょう?
梅雨とは、中国から朝鮮半島、北海道を除く日本列島にみられる
雨季のことをいいます。
それほど強くない雨が長く降るのが特徴です。
・中国で生まれた言葉『梅雨(ばいう)』
梅の実が熟す頃の長雨で梅雨(ばいう)と言った説
黴(カビ)が生えやすい時期の雨で黴雨(ばいう)と呼んでいたが
カビの字は語感が悪いのでその時期の梅の字を当てて
梅雨(ばいう)と呼んだ説…などがあります。
・日本では梅雨のことを五月雨(さみだれ)と呼んでいました。
"さ"は陰暦の5月、現在の6月のことで
"みだれ"は水垂れの意味です。
『梅雨』という言葉は江戸時代に日本へ伝わりました。
その頃から梅雨(つゆ)と呼ばれるようになりました。
「露(つゆ)」、梅の実が熟す時期の「つはる」、
梅の実が熟し潰れる「潰ゆ(つゆ)」、
カビのせいで物が損なわれてしまう「費ゆ(つひゆ)」などの言葉から関連付けて
"つゆ"と呼ばれるようになったと言われていますが
梅雨(つゆ)の詳しい語源については
まだわかっていないことが多いようです。
【5】飾り方の紹介

花梅の飾り方といえば
やはりお正月飾りでしょう🌼

門松にも使用されます。


古くより日本で親しまれてきたお花だけあって
和の装いが似合います。
【6】終わりに

今回は梅についてご紹介しました。
古くより私たちと密接な関係にある梅の花。
当たり前のように梅干しを食べてきましたが
種に毒があるなど知りませんでした。
これから春にかけてたくさんのお花が咲いてきますが
それに先駆けて咲く梅の花🌼
江戸時代よりも前は桜のお花見より
梅のお花見をしていたそうです。
まだまだ寒い日が続きますが、しっかりと防寒をして
梅のお花見も風情があって良いかもしれません。

コメント