♯59 桃(モモ)
科・属名:バラ科・モモ属
和 名:桃
別 名:
学 名:Prunus persica(プラナス ペルシア)
英 名:Peach blossom(ピーチ ブロッサム)
原産地 :中国
咲 期:3月中旬~4月下旬
花言葉 :「チャーミング」、「気立ての良さ」、「思いやり」
「私はあなたのとりこ」、「優しさ」、「女性の柔らかさ」
「あなたに夢中」、「不死」、「天下無敵」
"桃"と聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?
ひな祭り… 桃太郎… フルーツ… 桃カステラ…
お花も実も可愛らしい桃は、女性を象徴するお花です。
同じような時期に咲く「サクラ」とかぶってしまって
意外と知らないことが多い桃の花…
今回はそんな桃の花のご紹介です🌼
【1】桃の名前の由来🍑
「桃」という字は木へんに「兆」と書きますが
「兆」という字がつけられているように
桃は一度にたくさんの実を付けることから
『百々(もも)』や『美々(みみ)』と呼ばれていたことに由来します。
また、昔桃の実は赤いと捉えられていて
赤い実を表す『燃実(もえみ)』と呼ばれていたり
たくさんの産毛が生えていることから『毛々(もも)』と呼ばれていたりと
由来は所説あります。
今では桃の実というと淡い桃色ですが
もしかすると昔の桃は赤かったのかもしれませんね。
英語では"Peach blossom(ピーチ ブロッサム)"と呼ばれていますが
"Peach(ピーチ)"は、ペルシャのローマ時代の桃の名称である
Prunus persica(ペルシャのリンゴ)というラテン語が由来していて
"blossom(ブロッサム)"は木に咲く花という意味があります。
【2】桃の花姿🍑
桃の花の花弁は楕円形で
先が尖っているのが特徴です。
花色は、赤色・白色・ピンク色などがあります。
では、下の写真を見てください📸
どちらのお花が桃の花かわかりますか??
正解は…写真上が桜で、写真下は梅でした🌼
桜、梅、桃はバラ科モモ亜科に属していて
お花がとても似ています…
桃じゃないんかい!!と思った方のために
見分け方をご紹介します🌼
◉花弁の形状による見分け方
・サクラ:楕円形で花弁の先が割れている。
・ウメ:花弁が丸いので、お花自体も丸い形。
・モモ:上記の通り花弁が楕円形で尖っている。
◉枝の違いによる見分け方
・サクラ:花柄と呼ばれる柄がついている。
花柄の先に複数の花が房状につく。
・ウメ、モモ:花柄がなく枝に直接花がつく。
📸花柄の先に複数の花芽をつけるサクラ
※因みにウメとモモは花柄を持ちませんが
ちゃんと見分けるポイントがあります。
・ウメ:枝につく花芽の数が一つ。
・モモ:枝につく花芽の数が二つ、葉芽が一つ。
まとめると…
花柄と呼ばれる茎の様なものの先に花がついているものは桜。
枝に直接花がついているものは梅か桃の花。
枝に直接花がついていて葉があれば桃の花、
葉がなければ梅の花になります。
※梅の花は花が散った後に、葉が出てきます。
📸花が咲く頃はまだ葉が出ていない梅
【3】桃の花言葉🍑
桃の花言葉はたくさんありますが
そのほどんどは見た目の可愛らしさからつけられています。
「チャーミング」、「気立ての良さ」、「思いやり」
「私はあなたのとりこ」、「優しさ」、「女性の柔らかさ」、「あなたに夢中」
原産地である中国では…
古くから桃の木は"仙木"と呼ばれ、邪気を払う力があるとされていて
一年の健康を祈って元旦に桃湯を飲んだり、
桃の木のヤニからつくられる桃膠という仙薬は
万病に効くとされていました。
中国の長い歴史の中で桃は
「不老長寿の薬になる」、「魔除けの力がある」などとされ
とても縁起の良いものとして"仙果"と呼ばれ
仙人が食べる果物として親しまれてきました。
このことから「不死」という花言葉がつけられました。
◉『オオカムヅミ』のお話
"オオカムヅミ"という言葉を知っている人は少ないと思いますが
日本神話に登場する桃であり、神様の名前です。
古事記に登場するのですが
漢字では、意富加牟豆美命(おおかむづみのみこと)と記し
大いなる神の実という意味になります。
天地開闢の始神イザナギが、亡き妻イザナミに会いたくなり
黄泉の国(死後の世界)に行くのですが
イザナミは黄泉の国の食べ物を食べてしまった後だったので
その姿は醜く、この世のものとはかけ離れたものとなっていました。
それを見て驚たイザナギは、一目散にその場を逃げ出してしまいますが
裏切りを知ったイザナミは『(黄泉の国での)私の姿を見たイザナギを許さぬ』と
8柱の雷神と黄泉軍の鬼女に後を追わせました。
やっとの思いで逃げてきたイザナギでしたが
黄泉比良坂(よもつひらさか)という地上との境目の麓付近で
追いつかれそうになり
そこに生えていた桃の実を3個取って鬼女に向かって投げつけると
黄泉軍は撤退していき無事に逃げ切ることができました。
そして桃の実はイザナギより「オオカムヅミ」の神名を授けられました。
…という逸話から「天下無敵」という花言葉がつけられました。
【4】桃知識🍑
桃の花と言えば…そう、ひな祭りですよね🌼
では、桃の節句とは何でしょう…?
ひな祭りとは何が違うのでしょうか?
実は桃の節句とひな祭りは同じ行事なのです。
まず日本には平安時代から続く「節句」という行事があります。
季節の変わり目に無病息災、豊作、子孫繁栄などを願って
神様にお供え物をしたりして、邪気を払う行事のことを言います。
節句は5つあり、3月3日の上巳(じょうし)の節句が
後に桃の節句となりました。
"上巳の節句"とは平安時代の貴族が野山で摘んできた野草などで
身体の穢れを祓って健康を願ったとされます。
一方、桃の木はたくさんの実をつけるため生命力の象徴とされ
邪気を祓う神聖な木として考えられるようになりました。
また、旧暦の3月3日は桃の花が咲き始める時期なので
桃の花を飾り、桃酒を飲む風習ができて、
いつしか"上巳の節句"は"桃の節句"と呼ばれるようになりました。
ひな祭りは、厄除けのために厄災を身代わりにさせた紙人形を川に流す
「流し雛」という風習が由来と言われています。
また、宮中の女の子たちの間で
紙などで作った人形遊びが流行していたこともあり
雛人形を飾るようになりました。
そこから女の子の健康や成長を願うひな祭りが定着していったといわれます。
【5】飾り方の紹介🍑
やはり桃の花の飾り方と言えば、ひな祭りの飾りです。
和風の飾りがとても映えます🌼
チューリップやアイリスなどの春のお花たちと一緒に
花瓶に生けるのも、華やかになりますし
季節を感じられて良いかもしれません。
【6】終わりに
今回は桃についてご紹介しました。
桃の生産地で有名な山梨県などは
年間の降水量が少ないので果樹の栽培に適しているそうです。
(雨が多いと果実が水っぽくなってしまう…)
古くから日本や中国で縁起物として
親しまれてきた桃の花。
3月3日のひな祭りや女性への贈り物にいかがでしょうか。
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